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インボイス未登録のままで大丈夫?
2026年10月から控除が80%→70%に下がる

携帯販売の応援・ヘルパーとして働いていて、まだ適格請求書発行事業者の登録番号を取っていない人は少なくありません。「今のところ何も言われていない」状態が、2026年10月に一段変わります。何が起きるのか、自分の手取りにどう跳ね返るのかを整理します。

2026年8月12日 更新

2026年8月12日 訂正のお知らせ

本記事は当初、2026年10月からの控除割合を「50%」、2割特例が使えるのを「2026年分まで」と記載していました。いずれも令和8年度税制改正(令和8年4月)で見直されており、誤りでした。正しくは控除割合は70%、特例は個人事業者なら2028年分まで(3割特例)です。お詫びして訂正します。

先に結論

あなたが登録番号を持たないまま請求書を出すと、それを受け取った元請けは、支払った消費税の一部しか控除できません。その控除できる割合が、2026年10月1日から 80%から70%へ下がります

つまり元請けから見た「あなたに払うコスト」は、10月を境に上がります。単価の据え置きを求められたり、登録を勧められたりする動きは、この日付に連動して出てきます。

なお、この経過措置は当初「2026年10月から50%」で終わる予定でしたが、令和8年度税制改正で適用期限が2年延長され、割合も「7割・5割・3割」の4段階に見直されました。下がり方は当初よりゆるやかになっています。

経過措置の区切り(令和8年度税制改正後)

2023年10月1日〜2026年9月30日 … 仕入税額相当額の 80% を控除できる
2026年10月1日〜2028年9月30日 … 70% に縮小
2028年10月1日〜2030年9月30日 … 50% に縮小
2030年10月1日〜2031年9月30日 … 30% に縮小
2031年10月1日以降 … 経過措置は終了(控除できない)

なぜ元請けの負担が増えるのか

消費税は、売上で預かった消費税から、仕入や外注で払った消費税を差し引いて納めます。この差し引きを仕入税額控除といいます。

インボイス制度では、この差し引きをするために適格請求書(=登録番号の入った請求書)が必要です。登録番号を持たない免税事業者はこれを発行できないため、本来なら元請けは1円も差し引けません。それでは急激すぎるので、当面は一定割合まで認めましょう、というのが経過措置です。

数字で見る

あなたが元請けに月額 330,000円(うち消費税 30,000円)を請求したとします。

あなたの状態元請けが控除できる額元請けの実質負担
登録番号あり(適格請求書)30,000円(全額)300,000円
登録番号なし・2026年9月まで24,000円(80%)306,000円
登録番号なし・2026年10月から21,000円(70%)309,000円
(参考)登録番号なし・2028年10月から15,000円(50%)315,000円

同じ請求額でも、元請けの実質負担は10月から 3,000円 増えます。年間なら36,000円。1人あたりでは小さく見えますが、取引先が複数の応援スタッフを抱えていれば、この差はまとまった規模になります。「10月から単価を見直したい」という話が来る背景は、たいていこれです。

そして2028年10月には、もう一段(70%→50%)下がります。今回の話は一度きりではなく、段階的に続くと考えておくほうが実態に合います。

登録するか、しないか

どちらが得かは、一律には決まりません。判断材料は次の3つです。

1. 取引先が課税事業者かどうか

元請けが免税事業者や簡易課税の事業者なら、そもそもあなたのインボイスの有無は相手の納税額に影響しません。この場合、登録しないままで揉める理由はほとんどありません。逆に、規模の大きい代理店や量販店が相手なら、まず課税事業者です。

2. 登録すると自分に消費税の納税義務が生まれる

登録番号を取るということは、課税事業者になるということです。売上が1,000万円以下でも、預かった消費税を申告して納めることになります。手取りは確実に減ります。事務も増えます。

3. 納税額を軽くする特例は、個人事業主なら2028年分まで使える

免税事業者からインボイス登録した人向けに、納める消費税を売上税額の一定割合で済ませられる特例があります。令和8年度税制改正で、この特例も見直されました。

対象の年個人事業主法人
2026年分(令和8年分)2割特例(売上税額の2割)2割特例
2027年分(令和9年分)3割特例(売上税額の3割)使えない
2028年分(令和10年分)3割特例使えない
2029年分(令和11年分)以降使えない使えない

これまでの2割特例は、2026年9月30日までの日が属する課税期間で終わります。その後は3割特例に切り替わり、個人事業者だけが2027年分・2028年分に使えます(法人は使えません)。個人事業主の課税期間は暦年なので、2026年分は2割、2027年分と2028年分は3割、という並びです。

適用の条件はこれまでと同じで、免税事業者が適格請求書発行事業者になったこと等により免税点制度の適用を受けられなくなった課税期間に限られます。また、3割特例を使うには確定申告書にその旨を付記する必要があります

当初この記事では「特例が使えるのは実質あと1回」と書いていましたが、改正により個人事業主なら合計3回(2026・2027・2028年分)使えることになりました。登録を検討する際の前提が変わっています。

登録しない場合にやるべきこと

「取引先が減るかもしれない」と黙って待つのではなく、10月より前に元請けと単価の話をしておくことです。相手の負担が増えるのは事実なので、負担をどちらがどれだけ持つかを先に決めておいたほうが、9月末に一方的に通告されるより条件は良くなります。

登録番号がない場合の請求書はどう書くか

登録番号がなくても、請求書を出さなくていいわけではありません。元請けが経過措置で70%を控除するためにも、区分記載請求書等と同じ記載事項を満たした請求書と、それを保存していることが必要です。

書くべきなのは次の5つです。

  1. あなた(発行者)の氏名または名称
  2. 取引年月日
  3. 取引の内容(軽減税率の対象があるならその旨)
  4. 税率ごとに区分して合計した税込対価の額
  5. 請求書を受け取る相手(元請け)の氏名または名称

適格請求書と違うのは、登録番号を書かないことと、税率ごとの消費税額を記載事項として求められないことの2点です。持っていない登録番号を書いたり、他人の番号を借りて書いたりすることは絶対にしないでください。

やりがちな失敗

テンプレートを流用したせいで「登録番号: 」の欄が空のまま残っている請求書は、元請けの経理で必ず止まります。免税事業者なら、その欄自体を消した様式に切り替えるのが正解です。

10月までにやっておくこと

様式の切り替えは、アプリなら自動です

カセグは、事業者情報に登録番号が入っていれば適格請求書、空なら区分記載請求書の様式で発行します。免税事業者のまま使っても、登録番号欄が空のまま残ることはありません。日当と歩合をカレンダーに打つだけで、月末に取引先ごとの請求書が仕上がります。記録・集計はずっと無料。

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※ 本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の税務上の助言ではありません。経過措置の根拠は所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)附則第52条・第53条で、令和8年度税制改正(令和8年4月)により控除可能割合と適用期限が見直されています。内容は国税庁「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」および「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」問113(令和8年4月改訂)に基づき、2026年8月12日時点で確認したものです。実際の取扱いは契約内容や事業の実態によって異なります。判断に迷う場合は、所轄の税務署または税理士にご確認ください。